思い出の昭和、そして上月町
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(第80話)クルマにはねられて宙を舞った。

<<2010.10.20記(2013.01.05一部修正)>>
あれは小学何年生のときだったろうか・・・。
じっくりと思い出してみるに・・・たぶん小学4年生だったかなと思っているのだが、どうも自信がない。
6歳年上の姉が徒歩で学校に通っていた時分だと思うので、姉が15歳だったとすると、ボクは9歳。
ということは、9歳とすれば小学3年生だったのだろうか?ということになる。 うーん、よくわからないけど、いずれにせよそういった年頃の頃の冬のこと。
いつもは多くの上級生とか同級生と徒歩で学校に通ってたが、なぜかその日は寝坊したのか、一人で学校に行ってた。
以前にも書いたと思う、が1960年代頃までというのは、須安から力万にかけての今の川沿いの道が当時の本道であり、現在の広い道は当時の田んぼの畦道程度でしかありませんでした。
当時のその本道は馬の背状態であり、現在の良い道のようにフラットではありません。しかも当時は簡易舗装だったと思う。暑い夏の日、その簡易舗装のアスファルトが溶け出して、ネチャネチャしてたし、鼻をつく匂いを放っていた。

今から述べるのは、そんな環境下での冬の日の朝のこと。

川と田んぼに挟まれたその道を学校に向かって歩いていた。雪が降っており、道は滑り頃。

ゴー!!!!という音で振り向いた。
するとトラック(今だからわかるのですが1トンクラスのもの)が横すべり状態になって、右側を歩いていたボクの方に向かって滑ってくるではないか!!

と、思う間も無くその横すべりしてきたトラックにはねられて、一瞬のあいだふっと宙を舞った記憶がある。
気がつくと田んぼの畦にボクの体は落ちており、その数メートル向こうにはボクをはねたトラックが同じように畦に落ちていた。

い、痛い〜!!クルマにあたった脇腹が無茶苦茶痛い!!
息ができないくらいに痛い!!

さて、ボクをはねた運転手が「ボク、大丈夫か?」と言って助け上げてくれた。
痛さに顔をしかめるボク。

ちょうどボクがはねられた後方を歩いていた近所のお姉ちゃん。ボクがはねられた瞬間を見たものだから、慌てて200m程走って帰ってボクの家に「一軒ちゃんがはねられた!!」と知らせてくれたらしい。
その間にも、運転手はボクを背負ってくれて、現場に近い菊川医院に連れていこうとしてくれたらしい。
背負われたボクは痛さに顔をしかめていたに違いない。実際、痛い!!という記憶しかないもの。
と、その時ボクを背負った運転手は、馬の背状態になった、しかも雪で滑りやすくなってるその状況下で、あろうことか痛がってるボクを背負ったまま、スッテンコロリン!!
痛いーっ!!

なんてえことを!!。いたたた!てなもんでしたが、まあなんとか事故現場から2百メートルほど離れた菊川医院に到着。
と、同時に事故の知らせを聞いたお袋と祖父が真っ青な顔をして、それこそ祖父なんか寝間着姿のまま息を切らして駆けつけてくれた。
今でも、あの血相を変えて駆けつけてくれた親、祖父のあの姿は忘れられません。

さて、残念ながら当時の菊川医院にはレントゲンみたいなものは当然あり得ませんので、そのまま佐用町の藤綱病院に行くことになりました。
当時はまだ佐用共立病院は無かったと思います。
とにかく、お袋とボクは影山タクシーに乗って隣町である佐用町まで行きました。
そこでレントゲンを撮った結果、骨等には全く異常がないという診断を受けて、とにかくやれやれということで家に帰りました。その頃にはボクの脇腹の痛みも少々和らいできていたと思います。
しかしなんですね、実にゆったりとした時代で、警察すら呼ばなかったのでないでしょうか?
しかも運転手はボクの親父の知り合いの弟だったということと、まあ実際にケガらしいケガはしていなかったということから警察には事故届けはしていなかったのだろうと思われます。

その日はとりあえず、学校には行かず自宅で寝てたと思います。

当時のお袋の友達でもあり、娘がボクの同級生でもあった某歯科医院の先生から、お見舞いとして、本をいただきました。
「15少年漂流記」でした。それまでこんな厚い本は読んだことがありませんでした。それを読み終えた時の充実感!!
そうです、ボクの今の本好きの原点は、この時にいただいた、分厚い「15少年漂流記」にあるのです。

これはケガの巧妙というのは少し違うかもしれないけど、本当に大きなきっかけであったのは間違いないのです。
事故で痛い思いはしましたが、今の本好きなボクに仕立て上げてくれた大きなきっかけであったわけですから、世の中面白いものですね。
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