思い出の昭和、そして上月町
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(第46話)体温計

<<2006.11.23記>>
筆者が子供ころ体が少し弱く、朝起きると微熱があり学校を休んだことが多々あります。
では体力が無かったかというとそうでもなく、田んぼ仕事などの手伝いは良くしたものであり、山仕事もてつだいました。
当時はまだ風呂とかは薪でたいていましたから、秋の田んぼ仕事が終わると今度は日曜ごとに山から薪を運び出して家に持って帰るのです。納屋に綺麗に積み上げたら晩秋の仕事の終わりです。私の家では昭和45年まで薪で風呂を沸かしていました。
ですから、田植え、稲刈り、薪運びくらいはできる体力はあったのですが、しかし朝起きると微熱があり学校を休まされたのであります。
祖父は山仕事に、親父は会社勤めに、母親は産婆をしていたのでしょっちゅう家にいなかった。
そこで私は一人布団に入ってひたすら熱が下がるのを待つのです。今から考えると何で熱が出ていたのか全くわかりせん。
さて、寝ている私は日中は暇で暇でたまらんわけです。
テレビは居間、ラジオを聴く習慣も無い。
当時の体温計は現在のように液晶デジタル表示ってなことは無く、水銀柱にふってある目盛りを読んでいました。超アナログでした。
さて、その体温計はプラスチックのケースに入ってい、そのケースには紐が取り付けられていました。その紐はワッカ状であります。
そのワッカに指をかけて、くるくる回すのであります。
何せ、暇ですから・・・・・
ある日のこと、いつものように仰向けに寝た状態でその体温計をくーるくーると回しておりましたところ、私の意図しない指の運動により、ポーンとその紐が抜けたのであります。
抜けた体温計は円周運動から開放され、円の接線上をまっすぐに障子に向かって一直線に飛んで行きました。
あっと思った時にはすでに遅く、障子に衝突運動を起こした体温計からは「カシャ」と軽い癖に少しくぐもった音が発せられました。
慌てて体温計のケースを開けると・・・見事に中の体温計は割れていました。
母親が帰ってきてからの言い訳に困ってしまい熱気も飛んでいってしまいました。
当時の体温計は今では考えられないくらいに高額であったはずであることは子供心にも感じていましたから・・・・
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